恵庭第一病院2026取材記事 | 北海道の病院・医療施設の検索サイト メディカルケアガイド

インタビュー

社会医療法人恵和会

恵庭第一病院

  • 内科
  • 呼吸器内科
  • 消化器内科
  • 循環器内科
  • 血液内科
  • 人工透析内科
  • 腫瘍内科
  • 外科
  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 肛門外科
  • 泌尿器科
  • リハビリテーション科
サムネイル画像

認知症、パーキンソン病など神経疾患を手厚くケア(脳神経外科・脳神経内科)

認知症やパーキンソン病など、治療が難しいとされる神経系疾患。恵庭第一病院(1975年設立、恵庭市福住町)の脳神経外科・内科では、薬物療法だけではなく、介護をするご家族の負担緩和まで見据えたサポートを提供している。同診療科で指揮を執る高坂 研一 院長に、各疾患の症状や特徴、難病が多い神経治療の現在地まで詳しく話を伺った。

高坂 研一 院長

【専門】脳神経外科、脳神経内科

【略歴】1984年3月、札幌医科大学卒業。中村記念病院、北広島病院(副理事長・副院長)、米国チュレーン大学大学院、輪厚三愛病院を経て2018年2月、社会医療法人恵和会 恵庭第一病院

【所属学会】日本脳神経外科学会、日本認知症学会

高坂院長 一般的な「外科」「内科」の相違をイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。つまり、手術を伴う脳疾患の対応にあたるのが「脳神経外科」、手術以外の保存的な治療を行うのが「脳神経内科」です。とはいえ内科・外科協働で行うケースが多く、例えば脳梗塞の治療の場合、保存的な治療は脳内科医が中心に進め、必要に応じて脳外科医も介入します。あえて区分けするなら、脳神経外科の範疇には脳出血に対する脳血管吻合術、脳動脈瘤に対する血管内治療(コイル塞栓術)などがあります。一方、脳神経内科では神経疾患の治療の比重が高まっており、代表的なものとして認知症やパーキンソン病、てんかん等の治療があります。

高坂院長 高齢化に伴って増加している、神経疾患の治療に最も力を入れている点が特徴です。認知症、パーキンソン病を中心に、てんかんや本態性振戦、顔面痙攣・顔面神経麻痺、三叉神経痛、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症など幅広い疾患の治療に対応しております。脳神経外科医が私1名だということもあり手術は行っておりませんが、脳梗塞や脳出血に対する保存的な治療は行っております。

高坂院長 認知症は、脳の障害などによって記憶力・判断力・理解力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす疾患です。物忘れが増え、計算や思考、言語能力などの低下もみられます。認知症は主なものに、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」の3つがあり、内訳としてはアルツハイマー型が60~70%、脳血管性のものが20%、レビー小体型が7%といったところです。その他、「前頭側頭型認知症」という治療法のない認知症もあります。

高坂院長 当院では認知症の診断に脳血流SPECT(スペクト)検査を採用しており、恵庭地域でこの検査ができる施設は限られます。脳血流SPECT検査では、微量の放射性薬剤を注射し脳への集まり具合をガンマカメラで撮影することで、血流を画像化します。血流分布により認知症の診断、検査での助けになるのですが、認知症の種類によって血流が低下している脳の部位が異ります。つまりこの検査は認知症の診断だけではなく、種類の鑑別の参考となるものです。他にもMRIあるいはCT検査なども併用しており、認知症の診断に欠かせない検査となっています。

認知症の診断に有効な脳血流SPECT検査の画像。血流分布により、認知症の種類の鑑別にもつながります

高坂院長 残念ながら、認知症については今のところ、根本治療というものがありません。薬物療法と非薬物療法を併せて行いますが、目的は症状の進行を遅らせて生活の質を維持・向上させることにあります。この点を踏まえた上で、症状や治療法についてお話することになります。まず脳血管性認知症の治療は、原因となった脳血管障害(脳梗塞など)の治療と予防が中心となります。次にアルツハイマー型認知症ですが、初期から記憶障害が表れ、特に最近のことが覚えられない傾向が顕著に出ます。記憶には長期記憶と短期記憶があり、それぞれ蓄える場所が違うのですが、短期記憶を司る海馬の萎縮がアルツハイマー型認知症の画像上の特徴です。アルツハイマー病には抗認知症薬が数種類あり、患者様の症状、状況により使い分けます。レビー小体型認知症では人や動物などの幻視やレム睡眠と呼ばれる夢を見る睡眠のフェーズで大声をあげて飛び起きるなどの異常行動が出現することがあります。アルツハイマー型の治療に使われている薬の一部が使用できますが、効果は限定的です。使用法は大きく異なります。前頭側頭型認知症については先程少し触れましたが、抗認知症薬で効果のあるものは今のところありません。したがって治療は周辺症状の対症治療が中心となります。

高坂院長 主にアセチルコリンを増やすコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)と、グルタミン酸の働きを調整するNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)が中心です。これらのお薬については、処方する際に必ずご本人とご家族にお話しておりますが、残念ながら基本的に症状を改善する働きはありません。ただ、症状の進行を遅らせる働きがあり、長い目で見ると介護をされるご家族にとっても助けになるのではないかと考えています。

高坂院長 予防に関して近年、前向きな話題が出てきております。WHO(世界保健機関)では、認知症に関する14の危険因子(教育不足・難聴・高血圧・肥満・糖尿病・喫煙・過度の飲酒・運動不足・うつ病・社会的孤独・頭部外傷・大気汚染・高LDLコレステロール・知覚障害)を挙げ、これらを改善することによって認知症の発症率を低減できるとしております。元々、認知症は主に高齢者に起こるもので、年齢に応じて発症率が上がっていきます。日本では団塊の世代が後期高齢者となり、2045年には団塊ジュニア世代もまた後期高齢者に該当する時代に突入します。当初の国の推計では、昨年25年には700万人に上ると予想されてきた認知症患者ですが、実際には22年443万人、25年は推計472万人に下方修正した数値が出ています。予測と比べ230万人も少ないわけで、WHOの指摘通り、様々な健康への取り組みが功を奏しているのではないかと考えられます。運動不足や難聴、視力障害なども認知症の発症と強い相関があるため、症状の軽い段階で介入することが大切です。

2025年の恵庭市民健康セミナーでは、高坂院長が認知症を題材にした講演を行いました

高坂院長 パーキンソン病は脳内物質のドーパミンが減少することで起こるとされる神経難病です。根本的な原因はまだ特定されておらず、安静時振戦(じっとしてる時に手などが震える症状)、筋肉の強剛、歩行障害などの症状が表れます。小刻み歩行になるなどの運動障害が特徴的で、繰り返し転倒することで病気が判明することもあります。本来、人間の体は少し傾くと自動的に察知し、重心が安定するよう姿勢反射が働きます。パーキンソン病になると歩行障害に加え、この反射機能が低下し、非常に転倒しやすくなるのです。パーキンソン病の診断は進行性核上性麻痺や多系統萎縮症といったパーキンソン病類似疾患との鑑別が必要で神経症状経過、MRI、DATSCANを合わせて診断を行います。

高坂院長 パーキンソン病は根本治療のない難病であることは事実です。ただ、薬の種類がありますし、脳深部刺激療法といった外科的治療も出てきました。私の専門から離れますが、神経細胞の移植により、ドーパミンの放出を促す治療なども始まっております。その意味で、治療法が広がってきていることは間違いありません。また、ドーパミンを補う薬物療法と並行して、筋肉の萎縮を抑えるための運動療法を行うことが非常に大切で、当院ではリハビリにも力を入れております。また、認知症やパーキンソン病など神経疾患の治療では、介護をされるご家族の負担も大きくなります。その点にも配慮し、生活指導や介護保険サービスの利用支援など、多角的なサービスを提供しています。お困りごとがあればスタッフにお問い合わせください。

高坂院長 先のコロナ禍で、5年ほど講演会等を中止している時期がありました。ようやく一昨年ぐらいから活動できるようになりましたので、今後は診療科を問わず啓発活動を行っていきます。診療方針についてですが、地域密着型の病院を目指すというのが基本的な我々の考え方です。コロナ禍を機に医療は受診抑制の方向に向かってしまいました。紹介状がなければ基幹病院での診療が難しくなっておりますが、当院は体調が悪い時、心配なことがあるときに、真っ先にかかることのできる病院でありたいと考えております。

高坂院長 当院では、咳・鼻汁などの軽い上気道感染症から癌等の化学療法まで幅広く対応できる病院を目指しています。専門医資格を持つ医師や優秀なスタッフがおります。高気圧酸素を備えており、突発性難聴、網膜動脈の閉塞症、脳梗塞、大腿動脈閉塞症等の血流障害の治療が対象となります。禁煙外来も行っておりますのでぜひご利用ください。引き続き、恵庭市民の方に質の高い医療を提供できるよう努力してまいります。

突発性難聴や脳梗塞など、血流障害の治療に使用する高気圧酸素治療器

※メディカルケアガイド2026年恵庭・北広島版に掲載されたインタビュー記事です

診療時間

時間
9:00~12:00 1 1 1 1 1 1
13:30~17:00 1 1 1 1 1
休診日:第1・3土曜、日曜、祝日 年末年始