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産婦人科医師(麻酔科標榜医)と小児科医師が協働 安心の無痛分娩体制

1979年設立の前身・羽田産婦人科医院時代を含め、これまで1万人以上の赤ちゃんを取り上げてきた「はだ産婦人科クリニック(2013年リニューアル開院・札幌市手稲区)」。羽田 健一 院長は、ご尊父よりクリニックを継承した当時から、麻酔科標榜医である強みを生かして無痛分娩に取り組んできた産婦人科専門医だ。小児科医も常勤する同院の周産期医療について院長にお話を伺った。

羽田 健一 院長㊧

羽田 美保 副院長㊨

羽田院長 札幌でも減少フェーズにあります。8年前に14000人を数えた出生数ですが、昨年は約9000人にまで減少しました。

羽田院長 医師になったころは、それほど当院の継承にこだわっておりませんでした。というのも、市立札幌病院で麻酔科、産婦人科や救命医療などに携わり、勤務医として大きな病院で働くのも選択肢の一つだと考えていたからです。父の後を継ぎたいと思うようになったのは、南米の途上国パラグアイで診療を経験してからです(2010~12年)。貧しい環境のなかでも出産や育児に頑張る現地の人々を見て、恵まれた環境の日本なら悩み多い妊娠・出産を、もっと幸せを感じられるよう手助けできるのではと考えました。現地では産婦人科以外の医療も多く経験し、急変対応にある程度自信をつけたこともあり、継承時に分娩再開を決めました。

羽田院長 一般的な無痛分娩には、硬膜外麻酔や脊椎麻酔を用いたり鎮痛剤を用いる方法などがありますが、当院では主に、硬膜外麻酔による無痛分娩を提供しております。産婦さんにとって無痛分娩の最大のメリットは、出産に関わる痛みと母体への負担が減ることです。陣痛はもちろん、会陰裂傷の処置の際の痛みなども軽減できます。一方、医療側にも大きなメリットがあり、分娩中の急変があれば、迅速に帝王切開に切り替えられます。麻酔による合併症などデメリットも少しありますが、そもそも出産にはリスクが伴うという意味で、麻酔の利点の方が大きいと個人的に考えています。日本ではまだ一般的とは言えない無痛分娩ですが、欧米ではすでに分娩の大多数を占めている国もあります。

羽田院長 毎年数%ずつ増えているというデータがありますが、普及しない要因はいくつかあり、臨床的な側面としては麻酔を扱える産科医が少ないことや、麻酔科医も不足しています。当院の場合、幸い私が若い時に麻酔科や救急医療で麻酔や全身管理を学び、それが今、活かせていると感じています。また麻酔を使うお産が助産師には一般的でなく対応が難しいとされていることもあると思います。そのほか、「子どもはお腹を痛めて産むのが当然」といった精神論が社会に根付いていることも、無痛分娩が広がらない要因として指摘されております。

LDR室

和室タイプの病室

羽田院長 小児科医師(羽田美保 副院長)が常勤しお産には原則として全例立ち会い、我々産科医にも産婦さんにとっても安心感に繋がります。容体の悪い赤ちゃんには迅速に検査や処置を行い、場合によっては高次医療機関への搬送を手配します。退院後の赤ちゃんに多い新生児疾患(哺乳後によく吐く・黄疸・目やに・おむつかぶれなど)の診療にも対応しております。一方、昔ながらの大部屋を作ったのは、お産前後の不安や孤独は妊婦さん同士の会話や声かけくらいで救われることもあり、そういうコミュニケーションも大事にしたいと考えたからです。退院後も患者さん同士で仲良くしているという話も耳にします。当院は病床が17床、そのうち3床が個室で、個室希望にも出来るだけ対応しています。

羽田院長 個人的に、拙速な制度化には危機感を覚えます。そもそも1929年(昭和4年)から、出産は病気ではないため「医療の対象ではない」とされ、保険適用ではなく現金給付の方針で現在に至ります。この間、都会と地方では出産費用やサービスの質に大きな地域差が生じました。例えば里帰り出産を選択する産婦さんが多くいらっしゃる理由の一つは、地方での出産が比較的安価だからです。出産が保険適用となり、この里帰り出産が減った場合、地方の周産期医療は破綻しかねません。都市部の産科クリニック等も収入減となり、分娩取り扱いを中止する施設が増えるという予測も出ています。少子化で減った分娩施設が、更に減ってしまうと一番困るのは産婦さんですので、丁寧な議論で最善の方策を探してほしいものです。

羽田院長 少子化と騒がれて久しいですが、子どものいない世界に未来はありません。子どもを増やす政策を皆で考え、地域で子どもを育てる世の中になることを願い、当院も可能な限り役割を果たしていきます。出産をお考えのご夫婦は、選択肢の一つにぜひ当院のご利用をお考えください。ご来院頂く方に寄り添った医療を今後も提供してまいります。

診療時間

時間
産婦人科     9:00~12:00 1 1 1 1 1 1
産婦人科     14:00~17:00 1 1 1 1
小児科     9:00~12:00 1 1 1
小児科     14:00~17:00 1 1
休診日:日曜・祝日、水・土の午後
※小児科は完全予約制です