上原内科クリニック2025特別寄稿文 | 北海道の病院・医療施設の検索サイト メディカルケアガイド

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【特別寄稿】大腸がん検診を受けましょう

近年、罹患者が増え続けている大腸がん。ステージが進むと命に関わる疾患ですが、早期発見できれば5年生存率は比較的高いと言われています。年1回の定期検診がいかに大事なのか、消化器疾患に詳しい上原 聡 医師(札幌市手稲区・上原内科クリニック院長)に記事をご提供いただきました。

記事提供

医療法人社団 上原内科クリニック

                 上 原 聡 院長

日本人における死因の第1位はがんです。2022年の統計では、がんによる死亡者数は約38万人で、全死亡の約27%を占めました。従来、日本人には胃がんが最も多く、大腸がんはむしろ欧米に多い病気でした。ところが、最近では、食生活の欧米化、運動不足、肥満、高齢化などを背景として、大腸がんが急激に増えています。実際、2000年から2020年にかけて、大腸がんによる死亡者数は着実に増え続けており、2022年の死亡者数は約5万人、新たに診断された患者数は約15万人と推定されています。

大腸がんは、比較的進行の遅いがんです。胃がんや肺がんなどと比べると、成長スピードが緩やかで、リンパ節転移も少ない傾向があります。したがって、早期に発見できれば、治癒の可能性が非常に高いがんです。がんの進行程度(ステージ)別にみた術後5年生存率をみると、ステージIでは90%以上と良好ですが、ステージが進むにつれて生存率が悪くなっています。がんの早期発見と早期治療がいかに大切であるかがよく分かります。

大腸がんの自覚症状としては、血便、下腹部痛、便通異常などがありますが、これらはある程度進行した大腸がんの場合です。大腸がんの早期には自覚症状はほとんどありません。したがって、無症状の時期に発見することが重要となります。自覚症状のないうちに大腸がんを見つけるために、便潜血検査が行われます。便潜血検査とは、便の中に血が混じっていないかを調べる検査です。目では見えないほど少量の出血でも発見できるため、大腸がんの早期発見にとても役立ちます。しかも、簡単・安価・痛みなしでできる検査です。大腸がん発生の危険年齢は40歳からですので、厚生労働省は40歳以上の人に年1回の定期検診を推奨しています。簡単な検査で命を守ることができるのです。

40歳以上の方は、大腸内視鏡検査を年に一回受けましょう

便潜血検査で陽性反応が出て、精密検査が必要と言われても、大腸がんとは限りません。多くは痔や大腸ポリープなどが原因で、実際に大腸がんがみつかるのは全体の約5%程度です。精密検査では大腸内視鏡検査(いわゆる「大腸カメラ」)を行います。柔らかい細い管を肛門から入れて、大腸の内部を観察します。もし病変が見つかれば、良性の病変とがんを区別するために、一部を取って顕微鏡で調べる検査を行います。大腸内視鏡検査は痛くてつらい検査だと思われている方も多いようですが、熟練した内視鏡専門医が行う場合、所要時間も15分程度で、苦痛もほとんどありません。

しかも、発見された大腸ポリープや早期のがんは、内視鏡を用いてその場で切除することも可能です。体への負担も少なく、日帰りで治療できるケースも多くあります。当院では、検査前の準備を快適に行える専用準備室を設けており、日帰り内視鏡的大腸ポリープ切除術も積極的に行っております。便潜血検査で陽性と判定された方、あるいは検査について不安を感じている方も、ぜひお気軽にご相談ください。

 大腸がんは「予防できる」「治せる」がんです。便潜血検査で「陽性」と言われた方、不安を感じている方は、ぜひご来院ください。あなたとご家族の健康を守るために、まずは年に一度の検診から始めてみませんか。

※2025年メディカルケアガイド手稲区版に掲載された寄稿文です

時間
8:30~12:30 1 1 1 1 1 1
14:00~17:30 1 1 1 1
休診日:日曜・祝日