インタビュー

社会医療法人恵和会

恵庭第一病院

  • 内科
  • 呼吸器内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 血液内科
  • 人工透析内科
  • 腫瘍内科
  • 外科
  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 肛門外科
  • 泌尿器科
  • リハビリテーション科

高度医療から在宅ケアまで担う基幹病院

内科・消化器内科・脳神経外科など14の診療科目を掲げ、基幹病院として地域住民の健康を守り続ける恵庭第一病院(1983年設立、恵庭市福住町)。1985年からは、恵庭市初の救急指定病院として急性期医療の一翼を担う一方、地域かかりつけ医としての機能も、併せて強化している。同院の診療の特徴や地域包括ケアへの取り組みについて、佐々木 尚英医師(消化器内科部長)にお話を伺った。

佐々木 尚英 消化器内科部長

2004年 北海道大学医学部卒業。北海道大学病院消化器内科、国立がん研究センター東病院シニアレジデント、北海道大学病院腫瘍センター、市立稚内病院内科主任医長、北海道消化器科病院化学療法センター長など歴任。2021年4月より現職。医学博士

佐々木 部長 当院の特色は、基幹病院でありながら「この地域のかかりつけ医」でもあるという点です。地域の医療機関からご紹介を受けた患者様はもちろん、紹介状をお持ちでない患者様の診療もお断りすることはありません。また病院の規模がそれほど大きくないことで、医師間の連携が図りやすく、診療科の垣根を越えた治療を患者様に提供できることも当院の強みだと言えます。例えば内科の診療に来られた患者で、消化器内科や脳神経外科等で治療が必要な方がいらっしゃれば、医師間で連絡を取り合ってすぐに手配いたします。私自身、様々な病院でキャリアを積みましたが、各診療科の連携という意味で恵庭第一病院はかなり進んでおります。

佐々木 部長 内科は5名、脳神経外科と外科がそれぞれ1名ずつで、常勤医は7名在籍しております。他にも非常勤の医師がおり、循環器内科や整形外科、泌尿器科等で外来診療を担当しております。常勤、非常勤を含め、20年以上の診療キャリアを誇るベテラン医師が多く、患者様の悩みに寄り添った診療を提供しております。

患者様の状態に合わせ、当院では各診療科の医師が連携して診療にあたります。丁寧な説明と適切な治療を心掛けております

佐々木 部長 医療・福祉機関との連携窓口として医療連携室を設置し、社会福祉士等の医療ソーシャルワーカーを配し対応しております。入退院や入院生活に関するご相談も、この連携室で承っております。また、必要に応じて地域のクリニックや福祉施設等に医師が直接足を運び、コミュニケーションを図ることもあります。

佐々木 部長 超高齢化社会ですので、必然的に在宅医療のニーズが高まったのはもちろんですが、2019年前後に当院では、在宅医療に積極的な医師が揃ったことも大きく影響したと思います。

佐々木 部長 国が在宅医療の強化方針を打ち出し、当院のように地域包括ケア病床(14床)を持つ病院には、施設基準として訪問看護ステーションの設置が求められました。看護部門の強化には、そういった制度的な背景がありましたが、単に国の方針というだけではなく、当院としても以前から在宅医療の強化を図ってきましたので、訪問看護ステーションの開設は自然な流れだったと考えております。

佐々木 部長 着実に利用者は増えており、現在では開設当初の2倍以上となっております。入院患者様と日々接していると、認知機能や生活機能が落ちている方が増えていることを実感します。ソーシャルワーカーを含めた多職種カンファレンスを実施し、ご家族の介護力だけでは退院後の在宅ケアが難しいと判断した場合は、訪問看護のご利用をお勧めしております。長期の入院や施設入所が減らせ、ご自宅での生活時間が増えることは患者様にとってもメリットが大きいと考えております。

佐々木 部長 昨年23年度は500件超、今年度はそれ以上となる見込みです。当院で対応が難しい疾患が疑われる場合には、速やかに高次医療機関を紹介する体制も整えております。また救急搬送される患者様の中には、新型コロナ感染症で重篤な症状の方も含まれます。一般の入院患者様や外来でお越しの方との動線を分けるなど、日頃から適切な発熱外来を心掛けております。感染拡大の局面に備え、陰圧に対応可能な閉鎖病棟もございますのでご安心ください。

佐々木 部長 まずお伝えしたいのは、ポリープ切除、胃潰瘍の止血、胆管炎など、一般的な消化器疾患の内視鏡治療は当院で可能だということです。また、早期癌の粘膜下層剥離術(ESD)や総胆管結石・急性胆管炎のドレナージ治療など、より専門的な内視鏡治療も多く手掛けております。

佐々木 部長 まず早期がんの粘膜下層剥離術(ESD)ですが、当院では主に胃と大腸に適用しております。以前行っていたEMR(内視鏡的粘膜切除術)では、大型の病変や粘膜下層まで線維化した癌を切除するのは難しかったのですが、このESDなら高周波ナイフで切除が可能になりました。例えば標準的な胃癌の外科除術のように、胃のサイズが1/3程度になってしまうこともなく、元の大きさが維持・温存できます。しかも、身体を大きく切る必要がない低侵襲な内視鏡手術のため、術後の回復にも比較的時間が掛かりません。また胆道ドレナージ治療は総胆管結石・急性胆管炎に適用する経口内視鏡手術で、身体を切る必要がありません。胆石を取り除く処置はもちろん、詰まった胆汁を体外や腸内に排液することが可能です。ESDに関して補足になりますが、早期がんの治療で適用となりますので、定期的にがん検診や健康診断を受けることが大切です。

当院の消化器内科では、早期癌の粘膜下層剥離術や総胆管結石・急性胆管炎のドレナージ治療など、専門的な内視鏡治療に対応しております

佐々木 部長 おっしゃる通りです。調べてみたところ恵庭市では、がん検診の受検率が他の自治体に比べて低いようです。忙しい就労世代の方々は、がん検診から足が遠のいてしまいがちです。がん検診を受けられる当院が身近にあることを知って頂ければと思います。早期発見であれば治せたはずの癌で亡くなられる患者様に接すると、消化器の専門医としても残念でなりません。定期的にがん検診を受けて頂くのがベストですが、少なくとも自治体から検診の案内が届いた際は、健康を過信せず当院で受検してください。

佐々木 部長 医師個人のスタンドプレーで、がん治療は成り立たない時代です。当院では主に消化器癌(胃癌・大腸癌・膵癌など)の抗がん剤治療にあたっておりますが、医師が選択した投薬・化学療法の方針を薬剤師がダブルチェックします。他にも、運動量の低下や抗がん剤の影響などで筋力や足腰が弱った患者様に対してリハビリテーションの専門家である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士や、在宅ケアにおいては医師・看護師に加えソーシャルワーカーが密に協力しています。緩和ケアについても、がんリハビリテーションで関わったスタッフと継続してケアを行っております。

佐々木 部長 重ねての話にはなりますが、地域の皆様には、早期発見・早期治療につながるようにがん検診をしっかり受けていただきたいと思います。また、恵庭第一病院では、生活習慣病健診にも力を入れています。糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病の方が近年増加しておりますが、そのままにしておくと心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患に繋がりかねません。こちらも早期発見して対策することが大切です。他にも、脳ドック、胃カメラ健診、企業健診、特定化学物質検診など、就労年齢の方の健康維持に役立つ検査も行っておりますので、併せてご利用ください。恵庭地域での医療完結を目指し、多職種で一丸となってチーム医療を提供して参ります。困りごと、ご相談の際には、お気軽にいらしてください。

※メディカルガイド2025年恵庭北広島版に掲載されたインタビュー記事です

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