社会医療法人仁陽会
西岡第一病院
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脊椎・脊髄疾患の診療を強化、内視鏡による最小侵襲手術
脊椎・脊髄疾患に対する内視鏡・顕微鏡手術の強化を図ってきた西岡第一病院(札幌市豊平区)。「腰椎内視鏡下椎間板切除術・椎弓形成術」「腰椎外側病変に対する内視鏡下除圧術」とはどんな治療法なのかー。吉本 三徳 副院長(日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術技術認定医)に詳しく話を伺った。

吉本 三徳 副院長
―まず、吉本副院長のご経歴について伺います。
吉本副院長 23年3月までは札幌医科大学に在籍し、脊椎疾患治療のチーフ及び准教授を務めておりました。さまざまな脊椎疾患の研究・治療に取り組んできましたが、特に脊椎の内視鏡下手術に力を入れてきました。大学を退職するタイミングで当院からオファーを頂き、23年4月から常勤医として職務にあたっております。
―貴院は20年に新築リニューアルされました。新しい施設に対する印象はいかがでしたか?
吉本副院長 旧施設の時代から週に一度、当院で診療を行っておりましたので、「奇麗になったな」というのが改築後の率直な印象でした。もちろん、医療設備も格段に充実したわけですから、診療の幅が広がったと思います。
―吉本副院長が着任され、貴院の脊椎・脊髄治療は大きく進化したと伺いました。
吉本副院長 もともと当院には、肩・膝・股関節の領域では専門の医師が常勤しておりました。一方、脊椎・脊髄だけ専門医が不在だったため、私が非常勤として治療を行ってきた経緯があります。常勤医として23年にオファーを頂いた狙いは、まず当院に脊椎外科をしっかり定着させることにありました。私と前後してもう1人、脊椎外科医(藤田安詞 整形外科部長)が着任しましたので、いつでも脊椎・脊髄疾患の症例全般に対応できる体制が整いました。
―最も多く行われている最小侵襲手術「腰椎内視鏡下椎間板切除術・椎弓形成術」「腰椎外側病変に対する内視鏡下除圧術」について教えてください。
吉本副院長 まず「腰椎内視鏡下椎間板切除術・椎弓形成術」の主な適応疾患は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症です。下肢のしびれや痛みと、それに伴う歩行障害の改善を目指します。治療の狙いは、神経組織を圧迫している椎間板や黄色靭帯を切除することで、脊椎の後方から内視鏡を入れて行います。従来法(椎間板切除術・椎弓切除術)のように皮膚や筋肉を大きく切開する必要がなく、靭帯や関節もほとんど傷めずに行えます。これはただ傷が小さいというだけではなく、術後に脊椎が不安定になるのを予防するために行われる固定術(脊椎にネジなどの金属を入れ固定する手術)が不要になるという大きなメリットを生みます。そのため当院では他の施設と比べて固定術の頻度がとても少なくなっています。一方、腰椎の椎間孔狭窄や外側ヘルニア等の治療に適用するのが「腰椎外側病変に対する内視鏡下除圧術」です。腰椎外側病変は病巣が深い場所にあるので手術の難度が上がります。今でも多くの施設では、深い病巣に到達するために、手前にある椎間関節を切除して手術を行なっています。椎間関節を切除したままだと脊椎がぐらぐらになってしまうので、やむを得ず固定術を併用することになり、身体への負担は大きくなります。対して内視鏡下除圧術であれば、椎間関節を切除せずに深部にある病巣の治療が可能となるので、固定術の併用も必要ありません。ただ、いくら低侵襲だと言ってもいきなり内視鏡下手術を行うのではありません。いずれの疾患に対しても、まずは薬物療法やリハビリなどの適用を考え、効果が芳しくない場合の適用となります。退院目安については個人差がありますが、概ね3日から2週間だと考えてください。


腰椎内視鏡下手術
【写真㊧】腰椎内視鏡下手術を行う吉本副院長
【写真㊤】15㍉ほど皮膚切開をし、病変部分まで内視鏡を挿入して治療を行います
―内視鏡手術に関し、患者様が知っておくべきことはありますか?
吉本副院長 皮膚の切開が15㍉程度で済み、固定術が不要になることが多いなど、内視鏡手術には様々なメリットがあります。しかし、立体視ができない限られた空間で行うため、術者には高いスキルと経験値が求められます。その点を病院選びのポイントにしてください。私自身はこれまで2000例以上の内視鏡手術を執刀してきました。他にも経験豊富な医師が揃っておりますので、当院は皆様のニーズに応えられると自負しております。
―内視鏡に関わらず、脊椎・脊髄の治療で大切にされていることは?
吉本副院長 脊椎・脊髄疾患の殆どは加齢に伴う変性疾患です。治療をしても加齢の進行は誰にも止められません。一時的に効果がある治療を施しても、長い目で見ればマイナスに作用する可能性もあります。10年後、20年後を見据え、脊椎の良い状態を維持していくことが治療の優先課題です。もう一点、骨粗鬆症の治療をしないまま脊椎の圧迫骨折、椎体骨折を繰り返している高齢者が増えております。ただの腰痛だと考えて我慢していると、治療が遅れ大きな手術に至る場合があります。個人的には他院の検査で見逃されている症例も含め、早期発見でケアしていく姿勢を大切にしたいと考えています。
―最後になりますが、地域住民の方にメッセージをお願いします。
吉本副院長 札幌市内および道内にお住いの方で、脊椎・脊髄疾患でお悩みの方はぜひ当院にご相談ください。手術はもちろん、投薬治療などについても詳しく説明いたします。また、他院で勧められている手術に対するセカンドオピニオンにも対応しております。とにかく、何か悩みがありましたら、遠慮なくご来院ください。
※メディカルケアガイド2025年札幌市豊平区版に掲載されたインタビュー記事です
診療時間(整形外科)
時間 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 祝 |
9:00~12:00 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | ||
13:30~18:00 | 1 | 1 | 1 | 1 | ||||
13:30~17:30 | 1 | |||||||
休診日:土曜午後・日曜・祝日 |
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