社会医療法人 北晨会
恵み野病院
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国産初の手術支援ロボット・hinotori導入 泌尿器科適用(地域初‼)
恵み野病院(1986年設立・恵庭市)では2024年、医療機器の補強・増強を相次いで推進してきた。3月に血管造影装置を更新し、常勤専門医による脳血管内治療が脳神経外科でスタートした。また9月には国産初の手術支援ロボット・hinotori TM(以下、hinotori)を導入。泌尿器科においてはhinotori支援下での前立腺がん手術が地域第1症例として12月に行われた。果たして地域医療はどう変わっていくのか―。内田和希 副院長(脳神経外科)、安住誠 泌尿器科部長のお二人にお話を伺った。
■脳神経外科も強化 脳血管内手術の専門医常勤

内田 和希 副院長
旭川医大2001年卒。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳神経血管内治療学会認定専門医・指導医、日本脳卒中学会認定専門医・指導医
■札幌に搬送せず、高度な脳卒中治療ができる体制
―内田副院長は脳卒中治療、中でもカテーテルによる脳血管内治療(脳動脈瘤コイル塞栓術・頸動脈ステント留置術など)の専門医でいらっしゃいます。この資格の取得を目指されたのはなぜですか?
内田副院長 脳卒中の手術といえば開頭手術が主流でしたが、私が医師となった2000年代から低侵襲なカテーテル手術である脳血管内治療が日本で広がり始めました。患者さんへの負担が少ない脳血管内治療をみて興味を持ち、北海道医療センターで研鑽を積み、脳血管内治療専門医の資格を取りました。その後、手稲渓仁会病院で10年以上にわたり脳血管内治療を行い、指導医の資格も取得しました。
―副院長は2005年から約5年間、恵み野病院に在籍しておられました。24年4月に常勤医として復帰され、同時に副院長に就任された経緯について伺います。
内田副院長 現在札幌市内では脳血管内治療はスタンダードな治療となっておりますが、恵庭市や近隣の北広島市や千歳市では脳血管内治療を行う常勤医が不在でした。医療の地域格差が問題となっているなか、恵み野病院から私に着任のお話をいただきました。脳神経外科領域におけるカテーテル治療の進歩は目覚ましいものがありますが、特に脳梗塞の治療はこの10年で劇的に変わってきております。カテーテル治療で脳の血管を塞いでいる血栓を直接取り除くことで、手足の麻痺や言語障害などの症状が劇的に改善できるようになってきております。しかし、早期の治療が行えない場合、予後の改善は困難になります。これまでは札幌などの遠方都市への搬送が必要でしたが、今後はこの地域で迅速なカテーテル治療を提供できる体制が整いました。この地域での脳卒中治療において、脳血管内治療専門医が常勤する当院の役割はさらに大きくなってくると考えております。

24年3月に更新した血管造影装置。二方向から血管を映し出すことが可能で、被ばく量も軽減されている
―次に、血管造影装置を更新された狙いも併せて教えてください。
内田副院長 手足の血管から管を通し、脳内血管の治療を行うカテーテル手術では、血管造影装置が欠かせません。新しい装置は被ばく量も少なく、手術中は二方向から血管を映し出すことが可能となりました。執刀医の安心感につながり、患者様の身体への負担を軽減させるメリットがあります。
―高度な治療を地元で提供できる体制が整ったわけですが、搬送される患者様ご自身は、どこの病院に搬送されるか分かりません。遠方の大都市まで搬送されると、時間もかかってしまいます。救急搬送を担う消防の方との連携強化も必要になってくるのでは?
内田副院長 おっしゃる通りです。すでに恵庭市、千歳市の消防には、当院にて低侵襲な脳血管内治療が可能だと伝えてあり、脳卒中等の疑いがある患者様の搬送をお願いしております。今後は更に、北広島市やその他の市町村の消防とも連携し、近隣地域からも患者様を受け入れていこうと考えております。
―最後になりますが、地域住民の方にメッセージをお願いします。
内田副院長 脳梗塞の治療は早期の治療が肝心です。言葉が出ない、ろれつが回らない、手足が動かないなど、脳卒中を疑う症状が出た場合は我慢せず、すぐに当院までお越しください。また、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の治療や、脳梗塞の原因となる頚動脈狭窄に対する脳血管内手術も行っており、いつでも相談に来てください。

安住 誠 泌尿器科部長
旭川医大1999年卒。同大学院2010年卒。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医、泌尿器ロボット支援手術プロクター(前立腺、膀胱)、日本内視鏡外科学会技術認定(泌尿器科領域)、北海道緩和ケア研修会修了
■泌尿器科の癌は今後、恵庭でロボット手術可能に
―安住泌尿器科部長は、旭川医科大学病院や市立旭川病院、北見赤十字病院などでキャリアを積まれ、2022年から恵み野病院にお勤めです。貴院の泌尿器科について、ご自身の評価はいかがですか?
安住部長 当院の泌尿器科は、開設から40年近い歴史があります。医師の質、治療実績ともに申し分ないと思います。課題としては、近年の泌尿器科治療で主流となっている、手術支援ロボットの導入を急ぐ必要がありました。
―外国製のダヴィンチも選択肢にある中、貴院では国産初の手術支援ロボット「hinotori」を24年9月に導入されたと伺いました。採用に至った経緯を教えてください。
安住部長 まず、最も重視すべきは性能面ですが、手ぶれ防止機能等でダヴィンチと比べて遜色ありません。加えて、国産医療機器の普及にかけるメーカー側の熱意も評価し、hinotoriを採用しました。またコスト面に関しても、ダヴィンチに比べ安価だという点も導入の決め手になったと思います。hinotoriを泌尿器科治療で使用した医療機関は北海道内では当院が初めてで12月に行った手術が、道内で第1例目となりました。そういった意味でも、医師としてやりがいを感じております。
―安住部長ご自身は、ダヴィンチのロボット支援手術プロクター(認定指導医)でいらっしゃいます。hinotori導入では学び直しが必要となり、準備が大変だったのではないですか?
安住部長 日本泌尿器科学会では幸い、ダヴィンチのサーティフィケート免許を持っている医師には、比較的スムーズにhinotoriの免許を頂ける制度が確立されています。個人的に準備に関して最も苦労した点は、先述の通り道内にhinotoriを泌尿器疾患の手術に適用している施設がなかったため、研修や見学のために本州と北海道を何度も往復しなければならなかったことです。私自身も本州で数回、研修を受けました。操作の方はダヴィンチと大きな違いはないので問題なさそうです。

国産初の手術支援ロボット「Hinotori」を導入。低侵襲な手術が恵庭で可能となる
―hinotoriを実際に操作されて、良い点はどこにありますか?
安住部長 ダヴィンチは患者様とドッキングするタイプのロボットなので、患者様の周りが機材で雑然としてしまい、術中にアーム同士がぶつかるケースが多々あります。一方hinotoriはドッキング型のロボットではないため、患者様周辺はスッキリとしており、腕周りが何かにぶつかる心配が少ないです。操作する医師としては、手術により集中しやすいと思います。
―さて、手術の中身や、今後hinotoriを手術適用できそうな疾患について教えてください。
安住部長 第1例目、第2例目共に前立腺がんの手術でした。その他、腎臓、膀胱など泌尿器科系のがん治療は、hinotoriでほぼ行えますので、今後は応用の幅を広げていきます。
―貴院がhinotoriを導入したことで、地域の泌尿器科診療に変化が起こりそうですね。
安住部長 近隣の北広島市や千歳市には新しい施設が増え、人口の増加が見込まれております。恵庭市にお住いの方も含め、手術の対象になる患者様の数は自然と増えてくる可能性があります。そう考えると、今回のhinotori導入は将来に対する備えであるとともに、地域医療連携を強化する良い機会になるのではないでしょうか。近隣の医療機関で泌尿器科系のがんを疑う患者様がいらっしゃれば、当院にどんどんご紹介ください。
―最後になりましたが、地域住民の方にメッセージをお願いします。
安住部長 これまで札幌方面でしかできなかったロボット支援手術が、24年12月以降は当院でできるようになりました。体を大きく切る必要がなく、負担の少ない安全な手術です。泌尿器科診療をこの地域で完結できるよう、努力してまいりますので安心してご来院ください。
※メディカルガイド2025年千歳・安平版に掲載されたインタビュー記事です
診療受付時間
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