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インタビュー

独立行政法人地域医療機能推進機構

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ダ・ヴィンチXi導入 幅広い疾患に対応

札幌市豊平区で急性期医療の中核を担う独立行政法人 地域医療機能推進機構 北海道病院(JCHO北海道病院/古家 乾 院長)。2024年3月に手術支援ロボット「ダ・ヴィンチXi」を導入し、消化器・呼吸器外科や泌尿器科領域の治療で更なる実績を挙げている。また循環器内科では、アブレーション治療(カテーテル心筋焼灼術)の提供が始まるなど、新しい医療技術の採用も進んでいる。地域包括ケアまで見据え、病院改革の指揮を執る古家 乾 院長にお話を伺った。

古家 乾 院長

1985年北海道大学医学部卒業。

札幌市北保健所、国家公務員共済組合連合会幌南病院(現KKR札幌医療センター)、地域医療機能推進機構北海道病院副院長などを経て、2016年から現職。

古家 院長 近年、徐々に広がりをみせている「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」は、地域包括ケアの中で重要な取り組みだと考えております。ご家族や医療従事者、ソーシャルワーカー等の協力のもと、自分の望む最期の迎え方を元気なうちに決めておくのがACPで、日本では「人生会議」と呼ばれております。ACPは元気なうちに始めることが大切で、信頼できる家族や友人に参画してもらい、もしもの時の治療・ケアについてや、人生の最終段階で大切にしたいことを伝えておきます。そして、重い病気になった時などは、治療やケアの見通しについて主治医の判断を仰ぎ、改めてACPでご自身が望む終末期医療等について情報を共有します。つまり、健康状態や心境の変化に合わせて、何度もACPを繰り返すことになります。高齢化社会が進む日本では、独居老人や高齢夫婦だけの世帯が増え、残念ながら意思表示ができないまま亡くなられる方が多くいらっしゃいます。厚労省も終末期医療の指針を改定し、ACPの普及を盛り込んでおります。その指針に基づき、当院のような基幹病院が、地域包括ケアの拠点として啓発を続けていく必要があります。

古家 院長 当院ではまず、マイナンバーカードの保険証利用を推進してまいりました。2024年には、国が整備を進めている全国医療情報プラットフォームに合わせて電子カルテシステムを更新し、1月より運用を開始しております。地域医療連携のためにも、電子カルテを病院間で共有できるようにしておくことが重要なのですが、中小の病院やクリニック等で普及が十分でなく、課題を残しているのが現状です。

古家 院長 腹腔鏡手術だと、細長い鉗子の扱いが難しく、細かい操作も限界がありました。その点、ダ・ヴィンチは手技も比較的習得しやすく、複数の関節を持ったアームがあることで、腹腔鏡手術では難しかった精細な操作が可能となりました。また、3D映像を10倍ほどに拡大でき、術者は座ったまま施術ができるため、医師の身体的負担も軽減されます。手ぶれ防止機能も付いており、外科医師のキャリアという意味においても寿命が伸ばせます。

2024年3月に使用を開始した手術支援ロボット「ダ・ヴィンチXi」。今後は結腸、肝臓、膵臓の癌治療に応用していく予定です

古家 院長 導入から約半年で、消化器・呼吸器外科で24例、泌尿器科で26例(数字は9月14日時点)の手術に適用しました。ダ・ヴィンチXiの応用範囲の広さを生かし、今後は結腸癌の切除、肝臓癌の部分切除、膵臓癌の膵体尾部切除などもロボット支援下で行っていく予定です。見込みとしては、年間100~150例は可能だと考えております。また、男性の癌罹患率で最も高い前立腺癌の治療でも、ダ・ヴィンチXiの存在は欠かせません。

古家 院長 そもそも、早期発見でなければ前立腺癌のロボット支援下手術は適用できません。その意味で言えば、当院が前立腺癌の早期発見に高い実績を誇っているからこそ、ダ・ヴィンチXiによる治療実績が上がっているということです。当院では、採血によるPSA検査で4.0ng/mlより高い値が出た方に、MRI超音波融合前立腺生検の受診をお勧めしております。これはMRI画像と29万メガヘルツのマイクロ超音波を融合させる検査方法で、癌が疑われる部分を描出することで、より正確な生検が可能となっております。生検の方法も、従来の経直腸的なものから経会陰的な手法に変更し、出血や感染症などの合併症リスクを抑えております。今後も、MRI超音波融合前立腺生検とロボット支援下手術を併用し、前立腺がんの早期発見・早期治療に尽力してまいります。

古家 院長 高齢化に伴う心機能の低下で、心房細動などの不整脈を起こされる患者様が多くいらっしゃいます。早期に治療しておかなければ、血栓ができることで脳梗塞などの脳疾患に繋がってしまいます。不整脈は、心臓内の異常な電気興奮が原因で起こります。アブレーション治療では、心臓に4本ある肺静脈周囲の心筋を焼灼することで、この異常な電気興奮の伝導を遮断します。開胸手術に比べ、カテーテルを通す小さな傷口で済みますので、身体への負担も少ない治療法といえます。アブレーション治療は今後、年間100例ぐらいになる見込みです。

循環器内科では、不整脈専門医によるアブレーション治療(カテーテル心筋焼灼術)を開始。小さな傷口で済み、身体への負担が少ない治療法です

古家 院長 地域の産科機能を当院に集約することになりましたので、まずNICU(新生児特定集中治療室)を9床に増設、GCU(新生児治療回復室)を6床新設、そしてMFICU(母体胎児集中治療室)を復活させ3床とし、高度急性期機能の拡充を図りました。また周産期センター内に、陰圧に対応可能な緊急帝王切開専用の手術室を新設しましたので、新興感染症に罹患した妊婦様の緊急出産にも備えができております。そして、新しくなったLDRでは、入院から産後2時間まで過ごして頂けますのでご安心ください。

地域の周産期医療を集約した「とよひら周産期メディカルセンター」。2023年に新設した新生児治療回復室(GCU)には、6床備えております

古家 院長 当院の最大の願いは、「地域の方に健康寿命を延ばして頂くこと」、そして「住み慣れたこの地域で、自分の考えた人生を全うして頂くこと」にあります。細かい医療技術について述べる前に、冒頭でACPの理念についてお話したのは、皆様に、ご自身の望む人生をプランニングして頂きたかったからです。地域住民の健康寿命を延ばすお手伝いをさせて頂くため、もちろん医療技術に関しても、新しいものをどんどん取り入れてまいります。当院には、皆様のお困りごとに寄り添う〝よろず相談所〟として、「総合支援センター」がございます。老老介護のお悩み、入退院の支援、医療費についてなど、何でもご相談ください。医師・看護師やソーシャルワーカーが多職種連携でサポートしますので、どうぞご利用ください。

健康管理センターでは、一般健診や特定健診、各種がん検診や人間ドックなどを実施しています。職場健診だけでなく、個人健診も行っています

※メディカルケアガイド2024年札幌市豊平区版に掲載されたインタビュー記事です

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