その歯、抜かないで!これまで抜歯されていた歯を救う再生治療

抜歯を宣告されたら、ちょっと待って!
「この歯はどうしても治らない」と診断される場合、歯が折れたり、割れたりしていることが多くあります。これまで治療することが不可能とされていた、折れた歯の再生治療への取り組みについてご紹介します。
歯を失う3大原因 歯根破折
抜歯の3大原因は
- むし歯
- 歯周病
- 歯根破折(歯が縦に割れてしまう状態)
このうち歯根破折はこれまで治療方法がないといわれ、抜歯してしまうのが通常でした。虫歯や歯周病と診断された場合にも、歯根破折を併発していることがあります。


歯が縦に割れた症例。口腔内にある状態を上から見たもの

上の写真の歯を抜いたところ。縦に割れている。
歯の真ん中には歯髄腔という部分があり、その中を血管と神経が走っています。
虫歯で「神経を抜く」という治療を受けた歯は、歯髄腔部分が空洞になっています。そして、もろくなった空洞部分からヒビが入り、歯根が縦に割れてしまうことがあるのです。
割れた歯を救う 「破折歯接着修復」
これまで治療できなかった歯根破折ですが、治療技術の進歩により割れた歯根を接着して治すことが可能になってきました。割れた歯の状態に応じて、
- 口腔内接着法
- 口腔外接着法(いったん歯を抜いて取り出し接着してから元あった場所に植えなおす方法)
があります。人体に無害な歯科専用の接着剤を使用し、特別なトレーニングを受けた歯科医師が治療を行います。

歯科専用の接着剤を歯に塗布し(左)、接着した状態(右)。
歯の状態の評価、表層の処理、清掃など
さまざまな専門技術を要す
こんな方は要注意!
歯根破折は、歯の神経を抜いてしまう治療を受けた方、歯の中に金属製の心棒を入れるメタルコアという治療を受けている方、噛む力が強く硬い食べ物が好きな方、力仕事などによって強く食いしばる方、歯ぎしりをする方などに多く見られます。
自覚症状としては歯の付け根の歯ぐきが腫れたり、噛むと痛くなったり、歯がグラグラしたりします。歯周病と似た症状で、間違われる場合も多いようです。
あきらめる前に破折歯接着修復治療
歯が折れてしまった場合、あきらめて抜歯してしまうと、抜いた部分を補うためにブリッジ治療や義歯治療を受ける事になります。ブリッジや義歯は残された歯に強い負担を強いるため、次なる歯根破折を引き起こしてしまう事があります。
抜歯を宣告されたら、1本の歯をあきらめずに、歯根破折に取り組む歯科医院にご相談ください。

記事提供:夢デンタルクリニック 大久保弘道院長
破折歯接着修復に取り組むPDM札幌メンバー