2023年8月から精神科・心療内科に睡眠専門医の資格をもつ安田麻美副院長が加わり、より専門的な診療が可能になりました。睡眠障害の原因の一つに睡眠時無呼吸症候群(SAS)がありますが、当院では入院せず在宅で行える検査法を導入しております。SASと診断された場合はCPAPによる治療を行っております。
また、飯田愛弓院長と共に老年精神専門医でもありますので、年齢を重ねたことで生じる物忘れや老年期うつといった疾患の専門的な診療も行います。精神科・心療内科は女性医師二人体制ですので、女性特有の症状や悩みも気兼ねなくお話しいただければと思います。
痛みの治療をするペインクリニック内科は飯田高史副院長が担当しております。腰・首の痛みから脚の痺れ、肩・膝・股関節痛、肩こり、慢性頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛と幅広く痛み全般の治療を行っております。
X線透視下や超音波下での高周波熱凝固・パルス高周波法という専門性の高い神経ブロック、Raczカテーテルによる硬膜外癒着剥離神経形成術、ラジオ波による椎間板治療といった特殊治療を積極的に行っており、旭川近郊にとどまらず稚内、帯広といった遠方や札幌などから訪れる患者様もいらっしゃいます。これらの特殊治療でも効果が得られない場合や、脊椎手術でもとれなかった痛みに対しては、脊髄刺激療法という低侵襲手術を提案させていただいております。
メディカルケアガイド旭川市インタビュー記事
※メディカルケアガイド2024年旭川市版に掲載されたインタビュー記事です
痛みの治療を諦めないでください。治療の選択肢はまだあります
2021年の開院以来、地域住民の「体の痛み」と「心の悩み」に寄り添ってきた、いいだメンタルペインクリニック(旭川市宮下通)。ペインクリニックを担当する飯田高史副院長に、硬膜外腔癒着剥離術・ラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術・脊髄刺激療法など、提供している高度な痛み治療についてお話を伺った。
―ペインクリニックでの痛みの治療においては、局所麻酔による神経ブロックが基本なのですか?
飯田副院長 神経ブロックの第一の目的は、痛みのサイクルを断ち切ることです。痛みのある全ての方に必ず神経ブロックを行うわけではありませんが、ブロックをすることで痛みがかなり軽減する症例が多いのは確かです。神経ブロックは基本となる治療法ですが、併せて内服治療を行っていくことも重要です。
―貴院では通常の神経ブロックのほか、リージョンジェネレーター(トップTLG-20)を使用した高周波熱凝固法、パルス高周波法も行っておられます。それぞれの治療の選択基準と特徴を教えてください。
飯田副院長 どの治療を選択するかは、神経の部位によって変わります。まず高周波熱凝固法については、針先の温度を上げることで神経を一時的に破壊し痛みの伝導を遮断する治療法ですが、運動神経などの治療には使用できません。逆にパルス高周波法は汎用性が高く、針の先端から流したパルス波で磁場を形成し、痛みを緩和する比較的新しい治療法です。どちらも通常の神経ブロックに比べて効果が長期間持続するメリットがあります。
―超音波診断装置やX線透視装置など、貴院では大学病院レベルの医療機器を備えておられます。
飯田副院長 当院は硬膜外腔癒着剥離術(Raczカテーテル)やラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術、脊髄刺激療法など大学病院レベルの治療にも対応しております。それぞれの治療法と医療機器の相性を考えて使い分けます。
―硬膜外腔癒着剥離術・ラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術・脊髄刺激療法をすべて行えるクリニックは稀少です。まず、硬膜外腔癒着剥離術とラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術について教えてください。
飯田副院長 硬膜外腔癒着剥離術は、特殊な「Raczカテーテル」を仙骨から挿入する手技の治療です。生理食塩水などで痛みの原因となる神経と周囲組織の癒着を剥がし、障害を受けた神経根部を治療します。カテーテルの先端が柔らかく、硬膜や神経根を傷つけにくい形状なのも特筆すべき特徴です。腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、また脊髄手術後の慢性疼痛症候群などの治療に有効です。一方、腰部と頚部の椎間板ヘルニア等の治療でもうひとつの選択肢となるのが、ラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術です。X線透視下でヘルニアのある個所まで刺した針を進めていき、椎間から飛び出して脊髄神経を圧迫している髄核をラジオ波で蒸散させます。同時に損傷した線維輪の凝縮も行い、以後のヘルニア進行をくい止めます。どちらも効果が長時間得られ、皮膚を切らずに行える日帰り手術です。
―3つめの脊髄刺激療法はどのような治療ですか?
飯田副院長 治療を尽くしても痛みが取れなかった方には脊髄刺激療法を行います。1~2本のリード(刺激電極)を脊髄背側に、ジェネレーター(ペースメーカーのような刺激装置)をお尻の上部に留置し、微弱な電流を流すことで大脳に伝わる痛み刺激をコントロールする手術療法です。脊髄刺激療法に関しては入院が必要な手術となるため、提携している森山病院にて私が執刀させていただいております。
―ペインクリニックに馴染みが薄い患者様もいらっしゃいます。飯田先生はどういった患者様に、貴院での診療をお勧めしますか?
飯田副院長 整形外科等の治療で腰・頚部の痛みや手術後の疼痛などが治まらなかった方でも、当院で行っている神経ブロックや特殊治療で痛みが軽減できる可能性があります。また痛みの中には心の状態が関与するものがあり、逆に痛みが引き起こす精神症状もありますので、必要な場合には併設している精神科・心療内科を紹介することができます。患者様の中には、痛みの治療を行うことで心療内科のお薬が減らせたという方もいらっしゃいます。とにかく患者様にお伝えしたいのは「痛みの治療を諦めないで」ということです。あらゆるアプローチで痛み緩和のお手伝いをいたしますので、ぜひ当院にご相談ください。