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2024/06/18 09:29
病院 | 呼吸器内科消化器内科循環器内科緩和ケア内科外科呼吸器外科脳神経外科心臓血管外科形成外科整形外科泌尿器科放射線科麻酔科(石川麻子)病理診断科婦人科眼科皮膚科歯科口腔外科
独立行政法人

国立病院機構 函館病院

〒 041-0844 北海道函館市川原町18番16号
tel 0138-51-6281 電話をかける

ロボット支援で低侵襲の手術を提供

  • 病床60床を備えた、道南唯一の重症心身障がい者病棟。こうしたセーフティーネット分野の医療を確実に提供するのも国立病院機構の役割です

  • 2024年3月から利用を開始したロボット手術支援装置(ダ・ヴィンチ)。低侵襲な鏡視下手術の精度を向上し、より良質な手術を提供します

  • 2024年1月に更新したリニアック装置(放射線治療装置)。SRT(定位放射線治療)、IGRT(画像誘導放射線治療)、IMRT(強度変調放射線治療)にも対応しています

函館市メディカルガイドインタビュー記事

メディカルガイド2024年函館市版に掲載されたインタビュー記事です


1978年の発足以来、基幹病院として函館市民の健康を支えてきた「独立行政法人 国立病院機構 函館病院」。今年1月に高精度リニアック装置への更新が完了、3月には新たにロボット手術支援装置(ダ・ヴィンチ)を導入し、さらに質の高い医療を提供する体制を整えた。椎谷紀彦 病院長に、国立病院機構としての使命や、病院運営の今後について話を伺った。

【ダ・ヴィンチ導入で、がん治療をより安全・正確に】
―貴院は昭和53年4月、旧国立函館病院と旧国立函館療養所が統合して発足したと伺いました。元々は結核の療養所だったそうですが、椎谷病院長ご自身は今年2月のご着任以来、病院の歴史を感じる瞬間はございましたか?
椎谷 病院長 個人的な話になりますが私自身、函館出身ということもあり、知人のお見舞いで当院の結核病床を訪れたことがあります。15年ほど北海道を離れ今年の2月に当院に着任しましたが、結核患者様が入院していない現状に、時の流れを感じます。陰圧に対応可能な「結核モデル病床」が今も10床あり、名残りはございます。新型コロナウイルス禍では、この結核モデル病床を応用し、50床で対応にあたったと聞いております。その意味では結核療養所としての歴史が、現在の病院運営に活かされていると言えます。

―貴院が属しておられる「国立病院機構」について教えてください。
椎谷 病院長 国立病院が独立行政法人化した時にできたのが国立病院機構です。本部は東京にあり、全国では140病院が当機構に所属しております。厚生労働省の所管にある国立病院機構には、「質の高い医療の提供」「地域医療への貢献」「国の医療政策への貢献」など、課されている使命があります。

―「質の高い医療の提供」「地域医療への貢献」について、貴院の取り組みについて伺います。
椎谷 病院長 質の高いがん治療の実績に加え、がんの講演会・休日の乳がん検診などを積極的に行ってきたことが評価され、当院は2016年から地域がん診療連携指定病院の指定を受けております。地域医療の拠点として、がんの早期発見・早期治療に努めるとともに、もともと強みであった消化器・呼吸器や循環器の治療においても、質の高い医療の提供に尽力しております。また当院には、令和2年に国立病院機構八雲病院から機能移転した、道南唯一の重症心身障がい者病棟(病床60床)がございます。こうした、セーフティーネット分野の医療の提供も続けてまいります。

―「国の医療政策への貢献」とは、どのような政策を指すのですか?
椎谷 病院長 新興感染症や災害の発生など、国の危機管理が問われる事態が生じた際、当機構には医療面での貢献が求められております。新興感染症や一類・二類感染症が発生した場合、まず特定感染症指定医療機関と第一種・第二種感染症指定医療機関が患者様の治療や感染防止に努めることになりますが、これらの医療機関のキャパシティを越えた場合、先の新型コロナウイルス発生時と同様に、公的医療機関の病床を順次、使用していく必要が出てきます。コロナ禍で当院は、重点医療機関の役割を担っておりましたが、改正感染症法の施行で、今後は「流行初期確保措置付き協定医療機関」に指定される予定です。新興感染症が発生した場合などは、流行の初期段階からこれまで以上の対応力が求められます。災害復興への対応としては、2011年の東日本大震災や今年1月の能登地震などにおいて、当機構からメディカルチームを派遣した実績があります。能登地震では当院の看護スタッフを、石川県輪島市の市立輪島病院に派遣いたしました。今後の災害時においても、被災地と当院との地理的関係など条件が整えば、復興のお手伝いができる体制にあります。

―次に、多職種の連携・協働について伺います。4月からの働き方改革で業務の効率化は避けて通れません。貴院の状況はいかがですか?
椎谷 病院長 当院では、医師業務の一部(特定行為)を分担する特定看護師の育成に力を入れてきました。特定行為研修を修了した看護師が多く在籍しており、また事務処理を担う部門にも、医師事務補助者がきちんと配置されており、頼もしく感じております。私が当院に着任した時点で、すでに人材育成や多職種の連携が進んでおり、スムーズに4月の働き方改革の日を迎えられました。患者様には従来通り、質の高い医療の提供が可能ですので、どうぞ安心してご来院ください。

―貴院は紹介受診重点医療機関に指定されておりますが、紹介状をお持ちでない患者様にも対応しておられます。地域医療連携と併せて仕組みについて教えてください。
椎谷 病院長 紹介受診重点医療機関とは、かかりつけ医などからの紹介状を持って受診いただくことに重点をおいた医療機関です。ただ、すべての患者様が紹介状をお持ちとは限りませんので、その場合の受診は「初診時・再診時選定療養費」のご負担をお願いしております。当院は函館地域の多くの医療機関と、遠隔カルテシステムを共有しております。ご自宅の近くに、この遠隔カルテを共有しているクリニック等がございましたら、まずはそちらで受診してください。当院での治療が必要な場合、連携がスムーズにいきます。

―さて貴院では、今年3月にロボット手術支援装置(ダ・ヴィンチ)が導入されました。高精度リニアック装置への更新に続き、医療機器の充実が図られています。
椎谷 病院長 高度医療の提供には、医療機器の刷新が欠かせません。当院もこれまでの実績が認められ、3月に待望の導入となりました。道南地域では唯一の呼吸器外科プロクター(ロボット手術指導医)が在籍していることもあり、特に肺がんの手術で実績が残せております。高精度リニアック装置も併せて活用し、今後は消化器等のがんの手術でも、更に実績を積んでまいります。

【人口減少を見据え、診療エリア拡大で対応】
―少子化・高齢化が進み、病院運営には課題が山積しております。道南地区の状況はいかがですか?
椎谷 病院長 同じ人口減少でも、函館のような地方都市と大都市圏は事情が異なります。労働人口の減少と高齢者の増加が進んでいるのが大都市圏なら、函館においては高齢者層の人口も、減少フェーズに入っております。有病率の高い高齢者の減少とは、言い換えると患者様が減少しているということで、病院運営は先行き不透明な状況です。

―患者様の絶対数が減少する中、地方都市の病院が向き合わなければならない課題は何ですか?
椎谷 病院長 今般の厚労省の診療報酬改定では、救急医療の地域的ニーズの変化という話が出ました。要約すると、大都市圏と地方都市では、求められる急性期医療の質が異なっているということです。患者様の年齢層が幅広い大都市圏では、引き続き「高次・高度医療」が急性期医療に求められる一方、高齢者の多い地方都市では、「肺炎・尿路感染症等」の治療が急性期医療の中心になってきております。厚労省は大きな指針として、地方都市では、高齢者に多い疾患を適切に治療できる病院の整備が急務だとしております。実際、函館市の基幹病院の中には、診療の軸足を亜急性期・回復期・慢性期医療へと移している病院もあります。当院としても、厚労省の指針に合わせた体質改善について、考えておく必要はあります。

―とはいえ貴院はこれまで、高次・高度医療の実績を積んでこられました。今後も貴院が得意分野を活かしていくカギはどこにありますか?
椎谷 病院長 診療エリアを拡大し、診療数を維持していくことが重要になります。当院ではすでに、へき地医療への取り組みを開始しており、南渡島2次医療圏の方々をご紹介頂いております。当院が得意とする、がん・消化器・循環器疾患の高度医療を継続していくためにも、診療エリアの拡大を進めていく所存です。

―最後になりますが、地域住民の方にメッセージをお願いします。
椎谷 病院長 紹介受診重点医療機関に指定されているように、当院は地域診療で成果を挙げている病院です。結核や重症心身障がい、難病治療などで成果を挙げてきた歴史があるためか、当院に敷居の高さを感じる方がいらっしゃるようですが、地域の医療機関から当院をご紹介頂いた際は、安心してご来院ください。また当院は、予定では今夏にも「函館医療センター」と名称を改め、引き続き質の高い医療を地域住民の方々に提供してまいります。併せて、国立病院としての使命も果たしてまいりますので、ご支援ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

診療時間

時間
8:30~11:30
13:00~15:30

休診日:土曜・日曜・祝日

病院長:椎谷 紀彦

1984年、北海道大学医学部医学科卒業。88年、北海道大学大学院医学研究科卒業。89~91年、Paris第12大学Henri-Mondor病院心臓外科、2008年~北海道大学病院循環器外科准教授・診療教授、09年2月~浜松医科大学外科学第一講座教授、24年2月~国立病院機構函館病院 特命副院長、24年4月~現職。
独立行政法人

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041-0844
住所
北海道函館市川原町18番16号
tel
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HP
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