金属アレルギーとは、金属が汗などの体液と触れる事により溶け出したイオン化物質が、身体のタンパク質と結びつく事によりアレルギー源となり、かゆみやかぶれなどの症状を起こす事を言います。金属アレルギーは大きく分けて「金属接触アレルギー」と、「全身型金属アレルギー」の2種類があります。
金属接触アレルギーとは、ネックレスやピアスなど金属が直接皮膚や体液に触れる事により溶け出したイオン化物質が皮膚から体内に侵入し、再度同じ場所に金属が触れる事によりアレルギー反応(かゆみ、発疹、水泡などのかぶれの症状)を起こします。慢性化する場合は治療が非常に困難になる場合もあります。
全身型金属アレルギーとは、歯科金属や内服薬、食品などに含まれる金属が体内に侵入し、唾液など体液により溶け出したイオン化物質がアレルギー源となり、口の粘膜や腸から吸収された後、汗として皮膚から分泌する時にアレルギー反応(繰り返す湿疹、水泡、猛烈なかゆみ等の症状)として現れます。金属接触アレルギーとは違い、全身から汗と共に出てくるので手の平や足底に多くみられます。
金属アレルギーを起こしやすい金属で代表的なのが「ニッケル」「コバルト」「水銀」「銀」「クロム」「パラジウム」で、歯科治療においては「銀歯」等に含まれている「銀」や「パラジウム」が該当します。「銀」や「パラジウム」を含んだ歯科用金属「金銀パラジウム合金」は、加工のしやすさから現在の日本における歯科保険診療で認められている金属であり、多くの歯科医院で金属の冠や詰め物の素材として使われております。他にコアといわれる土台にはメタルコアという「銀」を主とした「銀合金」も国の歯科保険診療で認められている金属であり、こちらも多くの歯科医院で使われております。
海外の医療先進国では、パラジウムなどの金属が体に与えるアレルギーや、咬耗により出来た金属とかけた歯との間に段差に出来る2次カリエス(ムシ歯)になる悪影響を考慮し、メタルフリー(金属を含まない)の治療を推奨しています。
日本でも、今まで自由診療でしか治療する事ができなかったメタルフリーの白い歯が、2014年4月よりCAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴(かぶせ物)が小臼歯(真ん中の歯から数えて4番目、5番目の歯)に対し保険適用になり、2016年4月からは歯科金属のアレルギーがある場合に限り、大臼歯(真ん中の歯から数えて6番目、7番目の歯)にもハイブリッドレジンによる歯冠補綴(かぶせ物)保険適応になりました。
また、コア(土台)も2016年よりファイバーポストコアといった金属を使わないコアも一部保険適応になるなど、自由診療でしか選択する事が出来なかった「メタルフリー治療」が少しずつですが保険診療でも広がりつつあります。
普段から手足に「湿疹」「水泡」「かゆみ」などの症状でお悩みの方は、もしかすると口腔内の銀歯によるアレルギー症状かもしれませんので、思い当たる方は一度お近く皮膚科でアレルギーテストを行う事、アレルギー反応が認められた場合には「CAD/CAM冠」を取り扱っている歯科医院に相談する事をお勧めいたします。